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呪いの受難劇
2006-02-01 Wed 23:59
そこは独房のように小さな部屋だった。中央に一脚だけ豪勢な肘かけ椅子が置かれ、オペラ・グラスと、二つ折りにされた大きな紙がのせられている。椅子の前方には深紅の垂れ幕が下がり、舞台まである……

「彼」の登場だな。こういうときは、ジタバタせずに状況に身を委ねるのがアバロンの冒険の鉄則だ。椅子に座って紙を開いてみるんだ(どう考えてもオペラ・グラスは使わないだろうが)。

紙を開くと仰々しい古風な文字が並んでいる。

オペラ「呪いの受難劇」/プログラム

そのとき、開演を知らせるブザーが鳴り響き、けたたましいドラの音とともにどん帳が上がりはじめた。
舞台中央に、マントをはおった男がたたずんでいる。目の部分だけ隠した黒い楕円の仮面をつけ、皮膚は青白く、口の両端からは長い牙が突き出ている。男は一歩前に進み出ると、両手を高々とさしのべ、うっとりするような口調で語りはじめた。

 おお、悩みのつきぬ世なれども、余ほどの苦悩はあるものか
 あらぬ濡れ衣に耐えるには、余の両腕はあまりにか細い
 おお、余こそ呪いの最大の犠牲、今宵語るはその顛末
 されば時をさかのぼり、受難の発端に立ち会われたし……

そこでどん帳がすとんと落ちた。


どうやら自分の冤罪をオペラ仕立てで説明するつもりらしいな(話の流れを覚えてない読者は頭のほうから読み直すことだ)。さて、例によって例のごとく、魔神の登場シーンはやたら長い。俺がかいつまんでやるからありがたく思えよ(体験したけりゃ自分で冒険に出ることだ)。今回は箇条書き方式で。さっきのが第一場で……

第二場:魔界の作曲家から魔神にオペラ共作の誘いがあったが、それは詩のないオペラだった。申し出を断った魔神に作曲家は復讐を誓った。
第三場:作曲家はアバロンにカビの呪いをかけ、その罪を魔神になすりつけた。
第四場:そこで魔神は呪いの主を倒すためにピップを待っていた。

「さあ若き勇敢な友よ!この舞台に参上されよ!」

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グランウィーゼル(ダ・ダ・ダ・ダーン!)
2006-02-02 Thu 23:14
ピップが慌てて舞台へ上がると、ファンファーレが鳴り響いた。魔神はにやりと笑って牙を光らせ、オペラを歌えと目で催促する。ピップはしかたなく、覚悟を決めて、両手を腹の前で組んで大声で歌った。

 おお、なんという光栄、なんという歓び!……


ああもう結構だ。ブログの読者も聴きたかないだろうから残りは割愛するぞ。

魔神が拍手を送り、静かにどん帳が下がっていく。ピップと魔神は手をつなぎ、誰もいない観客席に向かって大げさに礼をする。感激に震える魔神はピップを抱き寄せて言った。
「名はなんという?」
「はあ……?ご存知じゃないんですか?何度かお目にかかっていると……」
「さようか。余に謁見を望む者は大勢いるのでな。で、名は何と言う?」
「ピップです」
「ピップとやら、歌劇で伝えたかったことは理解したであろうな?」


要するにオペラの合作で仲たがいした作曲家が呪いをかけて魔神を犯人に仕立てあげたというわけだ。

「魔神殿、心中お察しします。では、真犯人――作曲家というのはいったい誰なんです?」
「いや、その名を口にするのはちょっと……」魔神はなぜか口ごもった。
「でも、教えていただかないと行動の起こしようがないじゃありませんか」
すると魔神はあたりを気にしながら声をひそめて言った。
「グランウィーゼルだ」
ダ・ダ・ダ・ダーン!とたんに不気味な交響曲が鳴り響いた。
「な、なんですか、これは!?まだ歌劇の続きが?」
「気にするでない。奴め、自分の名前に魔法をかけおった。奴の忌まわしい名を口にするたびに、この曲が響くのだ」
「どこにいるんでしょうか?その、グランウィーゼルは」
ダ・ダ・ダ・ダーン!
「おそらく、〈宇宙樹〉に住みついとるはずだ……」魔神はそう言うと、ポンと手を打った。
「おお、そうじゃ。とっておきの贈り物があるのだが、おまえに取り出せるかな?」
「はあ?……と言いますと?」


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万能鍵
2006-02-21 Tue 23:22
「それが大事な品だから飲み込んである。余よりも他人の腕のほうが奥まで届いて捜しやすい。よろしく頼むぞ」魔神はあんぐりと口を開けて喉の奥を指差した。

こいつはさすがに自分の手でやるしかあるまいな、ピップ。実にワクワクするような仕事だが、お前に譲ってやるよ。頑張りな。

「アワワ……気をつけよ。牙を折るなよ……食道をまっすぐに……アワワワ……胃袋の、右じゃない……左じゃ。そう……ウウウ……そこ、そこじゃ」
魔神に言われるままに手探りしていると、やがてジャラジャラしたものに触った。鍵の束のようだ。
「ウウウ……それじゃ、ピップ。余の大切な……鍵束じゃ。左から右に……1番から200番まである……アウウ……その150番をおまえに……いや、それは余の寝室の鍵じゃ。それより……8つ右……それはトイレの鍵か。あと10だけ右に……いや、また違った。それは秘密の鍵だ……そのひとつ手前……そう、それだ!間違った鍵を取り出したら死刑に処すぞ……おえっ」


鍵の番号がわかったら、その番号のセクションへ行け。今回の謎かけは楽チンだな。気分的には最悪だろうがな。

顔面蒼白になった魔神は、胃のあたりを押さえながら鍵を見て頷いた。
「これは〈万能鍵〉といってな、どんな錠前でも開けることができようぞ。さあ旅人よ、これを手にして立ち去れい」


魔神殿がそう仰ってるんだ。さっさとおいとましようぜ。……まだ何か聞き出そうっていうのか?無駄無駄、時間の無駄だ。

「もうひとつだけお聞きしたいことがあるんですが……」
「あん?」魔神はこちらを睨みつけた。(ほれみろ)
「ペンドラゴンの〈鏡の盾〉のありかをご存じないでしょうか?」
「図々しい奴!身の程知らずめ!余はグランウィーゼルへの」ダダダダーン!「復讐劇を創作するのに忙しいのじゃ。題して裏切りのグランウィーゼル」ダダダダーン!


ああもう五月蝿い!呪いの迷宮のQに戻るぞ!

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